館長からのメッセージ

縄文水族館への夢

水族館人としての私は、子供達に将来循環型社会の担い手となるように願っている。
そのためには、子どもたちには、確実に自然好きになってもらいたい。
幼児期の生き物体験は情操の発達に大きな影響を持つと言われている。
脳の前頭葉の発達に欠かせないらしい。
自然に触れる機会の無いまま成長した子供たちが、心に何らかの変調をきたすのは何の不思議もない。
それは、550万年のDNAの渇きをいやすことでもある。
こうなると、もう半ば宗教になる。
人間が人間を科学することが一番難しいといわれるから、答えが出るのを待っている訳にはいかない。
感受性豊かな幼児期に、すぐれた絵を見せ、音楽を聞かせることに意味がある。
同様に、私たちは、幼児期の子どもに動物と遊ばせ、あるいは動物を捕まえて食べさせることまで体験をさせることに意義を見いだすべきだ。
この感受性は、他の能力と同様に加齢とともに埋没してしまう。
「つくられた人気」に誘導されやすいから、小学校も高学年になってからでは遅い。
動物園や水族館は、子育て支援の新たな役割を認識しなければならない時代になっている。
動物園や水族館は、子どもたちの感受性の鋭敏な内に、子どもたちに自然体験の機会を保証する責任がある。
単に感触を体験させるだけでは中途半端である。
「命の教育」として味覚を含めた五感に訴える体験を受け持つべきである。
そこで、動物園長や水族館長の重要な仕事の一つに、感情的な「かわいそう」論者への説得がある。
説得不能の場合が多いが、あきらめてはいけない。
さあ、水槽の窓ガラス越しにみる水族館から、3000年前の縄文時代の里山水族館へ、シフトしよう。
縄文水族館の里山体験レストランでは、生き物を捕まえ、殺して食べるメニューがある。
釣り堀は、釣って調理して食べる「命の教育」場となる。
縄文水族館アクアマリンふくしまではKIDZOOレストランの開店を目指している。
これは私の夢である。夢を見なければ夢は実現しない。

三内丸山遺跡の竪穴住居再現 三内丸山遺跡の竪穴住居再現