館長からのメッセージ

動物園と水族館のありかた5・・・地先の海の保全センターとしてやるべきことは

農林水産業から林の文字が抜けて久しい。林が抜けた農水産物の1兆円産業はもう達成まぢかという。一次産業からジャンプして六次産業へ飛躍するという。阿武隈の除染は里山優先で奥山は放置されかねないことは前号にもふれた。漁業より先に林業従事者は絶滅危惧種になってしまう。戦後70年、太郎杉は直径70センチはある。伝馬船の材料を切り出した時は、山男の腕に感心させられた。四ツ倉の伝馬船の佐藤棟梁は、道具を津波にさらわれ、「うおのぞき」での出張工房の計画がとん挫した。漁業振興の旗振りをしてきたアクアマリンは、縄文の里の完成で林業振興の旗も振ることにしようではないか。「緑の水族館」のシナリオには津波防護の須賀プロジェクトもナツメヤシの港オアシスもいい。しかし、阿武隈山地の林業の振興が本筋だ。

森林の除染について環境省、復興庁、農水省の作業チームが9日、事業方針案をまとめたと、浜通り版のニュースにあった。人の利用の頻度で森林を里山と奥山に分けた。里山ではキノコ栽培、炭焼き場、キャンプ場、遊歩道、林道などの除染と整備を例示、奥山では落ち葉の除去や表土の剥ぎ取りなど除染は行わないが、間伐事業を行う。県内10か所ほどのモデル地区を設け、三年後に効果を検証するという。原発災害の前から、中山間地の過疎化は進行と一途だったから、それが加速された。すでに阿武隈のすそ野には静まり返った美しい人里と里山に廃校がたたずんでいる。私は、奥山の再生が先ではないかと考える。私のくしゃみと涙は、花粉症をもたらす密植した杉の悲鳴を代弁しているうだ。雑木林の再生と、炭焼きの再生からはじめるべきだ。それしかない!!!

三崎公園いわき市小名浜 三崎公園からの風景

一方、全国規模で沿岸の漁獲量の減少が続いている。全国の沿岸の3分の1以上が人工海岸、海山川の循環がとぎれて久しい。原因は明らかだ。「里海」再生運動は、環境省の調査では全国で取り組む行政や市民の活動は216件にのぼるという。なぜか農林水産省ではない。ここいわきの海でもサンマリーナ付近や、三崎の磯回りなどにわずかにアマモ場が残っているのではないか。わが保全センターは水族館の予備飼育施設ではなく、地先の海の保全センターでありたいものだ。

調(た)べラボがんばれ

調べラボ調べラボ

試験操業の摩訶不思議は、AMFの調(た)べラボ、Happy Oceans, メヒカリサミット、雑魚の会など一連の「おいしい水族館」事業で解消していくしかない。震災前の操業売り上げの8割を東電が保障している限り、試験操業さえ取り組まない人もいるとか。ともかく福島県産には値がつかない。昨年の8500サンプル中100ベクレルを超えたのはシロメバルなど4サンプルだけという。昨年末の28種がまだ出荷停止ということだが、いずれも磯や、底ものである。100以下なのでなぜ出荷停止の「網」から逃げ出せないのか。当館の富原獣医師と吉田君は、釣りのサンプリングで釣りの腕を磨き、調(た)べラボで実証してみせる。

アクアマリンふくしま 館長 安部義孝