館長からのメッセージ

アクアマリンふくしまの近況報告

アクアマリンふくしまは、令和元年7月15日に、開館19周年を迎えます。被災から8年を経て、依然として利用者数の低迷は続いています。こうした危機感を共有しつつも、私たちは、開設以来の理念を堅持し「環境水族館」にふさわしい活動を展開しつつ、新たな解決策を見出す努力を続けます。引き続き、子育て支援、高齢者にとっても好ましく魅力ある施設として管理運営していくことと致します。
小名浜港2号ふ頭にあって開館以来、外構部の緑化と展示スペースの拡充につとめてきました。15周年を期して完成させた「クウェート・ふくしま友好記念日本庭園」と「わくわく里山・縄文の里」は、環境水族館にふさわしい「海山川の循環」の理想型の展示を目指すものであり、ここから、「縄文JOHMON」のメッセージを世界へ向けて発信します。ナツメヤシの植林など真のオアシスの景観造成をめざすこれらの事業は、小名浜港「みなとオアシス」の名前を内外に発信する事業でもあります。

現在、国内外13の施設と友好提携関係を樹立しております。隣国の韓国、中国3施設、香港の計5施設とは、職員・技術交流のみならず、「集客資源」と位置づけ、利用者数の低迷を打破するための協力を得ることとします。アクアマリンふくしまは、縄文の里の動物展示を充実させ動物園と水族館の垣根を一層低くし、「海山川の循環」の環境メッセージを一層強化する戦略です。このため、那須岳山麓に位置する動物園、「那須どうぶつ王国」とは2018年3月24日に友好提携をしました。「那須どうぶつ王国」は、毎年末に、小名浜港への移動動物園でご協力をいただいております。また本年4月20日、栃木県宇都宮市に立地し、38年の歴史をもつ民間動物園・宇都宮動物園と友好提携をしました。これらの動物園とは縄文水族館として日本産陸上動物展示でご協力をいただきます。

第10回世界水族館会議(2018年11月5日―10日)は、小名浜漁協を会場として、35か国、500人の参加を得て開催し、アクアマリンふくしまの活動を世界発信しました。会議は「祭り」として終わるのではなく、今後の友好関係を強め、情報交換と集客を含めより安定した運営に結びつけることが肝要であると認識しております。
猪苗代町から管理委託を受けた「アクアマリンいなわしろカワセミ水族館」は、磐梯朝日国立公園の磐梯山のすそ野に位置し、地域の希少動物等の域内保全活動に資するために、天鏡保全センターのタイトルを掲げています。天鏡保全センターは、財団に蓄積された能力を発揮する場として、「戦略的事業」と認識しています。

「あぶくま・ばんだい・えちご発見の旅」のコピーで、前身のいわき市7文化施設連携の「あぶくま発見の旅」との連携を生かしつつ、常磐道、磐越道の沿線の文化施設との連携を拡大し、集客力を強める計画を推進します。
2019年7月15日の19周年を前にして、20周年に向けてハードもソフトも一層の充実を目ざします。皆様の御支援を引き続きよろしくお願い致します。

令和元年7月10日 (公財)ふくしま海洋科学館 理事長兼館長 安部義孝