館長からのメッセージ

環境水族館アクアマリンふくしまからの脱原発メッセージ

アクアマリンふくしまは、沿岸海域と阿武隈山地の放射線汚染を調査するために環境研究所を設立した。現在、いわき市域の放射線は安全域にある。
取水海水も河川水も検定限界以下である。しかし、子ども達の自然体験の機能を重視するアクアマリンふくしまとしては、館内外の放射線の状態を的確に情報発信する必要がある。
そのために、環境研究所という名称の組織をつくり、域内の放射線情報を独自に発信することにした。水族館独自の調査研究には限界があるため、各地の大学等と連携して、この問題に取り組んでいる。以下に、共同研究機関と研究概要について記載する。

調査の様子 調査の様子

環境放射線モニター 環境放射線モニター

金沢大学環日本海域環境研究センター:
福島県内を流れる河川の放射性物質料を定期的に測定している。センターには低レベルの放射能実験施設があり、微量の放射性物質の測定を行うことが出来る。アクアマリン環境研究所は定期的に採水した試料を送っている。

放射性物質の測定

東京海洋大学:
いわきの沿岸水域の放射性物質の拡散過程を解明するために海洋生物の放射性物質を継続的に調べている。海流の影響、食物連鎖、季節回遊など、どのような生物が放射性物質を取り込みやすいか、また今後、どのように拡散していくのか、深海生物への蓄積などがテーマとなっている。漁業対象種以外の魚種についての情報は、アクアマリン環境研究所の情報を提供している。

いわき明星大学科学技術部生命環境学科:
地元大学との連携により、長期的な調査研究の取り組みをしていく。サンプリングと計測について共同研究をしている。

魚種別放射線量記録:
主要な沿岸魚等の放射線調査データについて、アクアマリンふくしま環境研究所の独自調査、および大学、水試等の調査結果を含めて以下に表示している。

放射線調査データ

■脱原発メッセージの発信

けなげな桜花

福島原発から南に55㎞に位置する環境水族館アクアマリンふくしまとしては、日本動物園水族館協会の一会員として、独自に脱原発メッセージを以下の声明文によって発信することとした。東日本大震災と原発事故がもたらした放射線物質による汚染は、阿武隈山地を中心の広範囲に拡大し、沿岸海底に拡散し、人間社会のみならず、域内に生息する動植物、海洋生物へ影響を及ぼしている。被災地の加盟動物園水族館は、この一年余、それぞれの立場で全力をあげて災害復旧につとめてきた。この間に、展示動物のレスキューをはじめ、日本動物園水族館協会加盟園館の支援活動は、被災園館に勇気を与えたばかりでなく、その活動は社会的にも高く評価されている。私たちは、この災害から多くのことを学んだ。すなわち、プレートの変動を伴う巨大地震と津波にさらされる日本列島での、エネルギー源として原子力発電のかかえる圧倒的な危険性と脆弱性である。生物多様性の保全を重要な理念とし、自らを環境教育の施設として位置付ける86の動物園、66の水族館が加盟する日本動物園水族館協会は、未曾有の環境汚染の問題について、一般社会に対して、また、海外の動物園水族館のネットワークに対して脱原発のメッセージを発信すべき時です。このメッセージに、以下のように、少なからぬ日本動物園水族館協会の園館長のご賛同の署名をいただきましたので、ここに感謝の意を込めて共同声明とする。

村上 龍男  鶴岡市庄内加茂水族館館長
河原井忠男  茨城県大洗水族館館長
荒井 賢治  宇都宮動物園園長
佐藤 哲也  那須動物王国園長
市川 憲平  姫路市立水族館館長
荻野洸太郎  鹿児島市水族館館長
宇井 晋介  串本海中公園センター水族館館長
内海 起司  埼玉県大宮公園小動物園長
小宮 輝之  恩賜上野動物園前園長
(2012年5月28日)

アクアマリンふくしま 館長 安部義孝