館長からのメッセージ

アクアマリンふくしま被災報告(第一報)

2010年7月15日、アクアマリンふくしまは、10周年を祝って、「水族館の持続可能性」のテーマで国際シンポジウムを開催しました。
この日は、次の10年に向けて、子ども体験館「アクアマリンえっぐ」と、漁港に設けた子ども漁業博物館「アクアマリンうおのぞき」の両翼をそなえ、新たな飛翔の年でした。

福島県いわき市小名浜港2号埠頭に立地するふくしま海洋科学館・アクアマリンふくしまは、平成23年3月11日14時46分に三陸沖を震源とするマグニチュード9の東北地方太平洋沖地震の激震と、続く津波によって大きな被害を受けました。

震災翌日の水族館正面入口 震災翌日の水族館正面入口

皮肉にも、この被災によって、アクアマリンふくしまの持続可能性が試されることになりました。被災後、ライフラインとともに、長期間通信が途絶えました。そのため、日本動物園水族館協会を含む関係機関への連絡もままならず、御心配をおかけしました。紙面をかりて、お詫びと御礼を申しあげます。

地震直後、館内にはお客様が散見されましたが、至急退出させました。
その後、津波の警報に、館内に残った職員、ボランテイア80名は3階に退避しました。数度におよぶ津波によって、2号埠頭の水族館は孤立し、水族館の周りの車は全て津波にさらわれてしまいました。職員、ボランテイア80名は市街地から孤立しましたが、幸い人的被害はありませんでした。

翌日の12日以降、館内は停電により全循環が停止しました。

真っ暗な職員通路 真っ暗な職員通路

その後、自家発電によるブロアーの給気により飼育魚類等の生命維持に務めました。しかし、東北電力の復電の見込みはなく、燃料の重油が底をつき給気の継続は断念せざるをえませんでした。

一通り館内の点検をしました。
 その結果、次のような被害があることが分かりました。水槽や建物躯体の被害、冠水による電気設備の被害、建物周辺の外構の液状化による地盤沈下の被害。特に「アクアマリンえっぐ」の釣り堀と人工干潟の被害が甚大であることが判明しました。地域全体の停電により、大部分の魚類の迅速なレスキューは不可能でした。
 その結果、無数の外洋性魚類を犠牲にしました。海獣等は、翌朝に鴨川シーワールドに保護を依頼することができました。3月16日、17日の両日、トド、セイウチ等海獣類、ウミガラス、エトピリカの海鳥は鴨川シーワールドの援助により避難して行きました。

海獣レスキュー 海獣レスキュー

同館を経由して、上野動物園、葛西臨海水族園、伊豆三津シーパラダイス、新江ノ島水族館へ避難し保護されました。ここに、各館の迅速な対応に深く感謝を申し上げます。
 なお、小名浜港から北に55キロ圏にある原発の被災とその後の放射線の動向に注目せざるをえない状況があります。今後の取り組みですが、小名浜地区を含め当館のライフラインの回復を待って、復興に向けて歩みだしたいと存じます。

以上のように、被災直後にしたためて、日本動物園水族館協会のメンバーや世界の友人に発信した手紙をご紹介しました。

アクアマリンふくしま 館長 安部義孝