館長からのメッセージ

10才の誕生日を迎えるアクアマリンふくしま

財団法人ふくしま海洋科学館・アクアマリンふくしまは、2003年に環境水族館宣言をした。「海を通して人と地球の未来を考える」という理念に基づき、少子高齢化時代の要請に応える施設運営を目指している。生物の生息環境を再現した常設展示水槽では、その完成度は年々高まっている。子育て支援の一環としての自然体験プログラムや、アクアラバンを活用した東北圏の広域の教育普及活動を実践してきた。また海洋文化、水産振興に関する企画展示、盆栽展などを含む環境芸術に関するイベント開催などを連ねてきた。

環境水族館宣言をデザイン化した、植栽によるアクアマリン・シンボルマーク 環境水族館宣言をデザイン化した、植栽によるアクアマリン・シンボルマーク

調査研究活動では、浜通りの生物の域内保全活動、シーラカンスの海外における域内保全活動などを行っている。公共の施設にふさわしいスタンダードを維持することによって、市民に親しまれれる施設のめざしている。
 平成22年度は、当館の開館10周年を迎える大きな節目の年となる。開館以来の蓄積を十分活用し、「環境水族館」にふさわしい事業展開を図る。新年度は、以下の基本方針に基づき、効率的な運営により自立性の高い経営を目指すことによって、前年度を上回る入館者を迎えることを目標とする。
・「海・生命の進化」から始まる館内常設展示の全体シナリオに、新たに付加された施設とのバランスをとり適合させる。
 「潮目の海」の大水槽の展示は、館内展示シナリオの軸となるものである。小名浜港に完成した「うおのぞき子ども漁業博物館」は、本館のシナリオを磨く機会ともなった。
 アクアマリンふくしまの本館南端には黒潮流域の沖縄の島々、源流域のアジアの熱帯域展示と沖縄の島々をめぐる展示を配している。北端は北の海の愉快な海獣展示から、突然、地元のいわきの海洋文化展示になっていた。今回、これを親潮の源流の島々の展示に変更することとした。これらの改善策によって、アクアマリンふくしまは南北120mの本館展示全体で「潮目の海」のシナリオを強調できるようになるであろう。

・いわきの海洋文化展示は、新設の「うのぞき子ども漁業博物館」に移転し、そこで効果的に展示する。
 既存の「ふくしまの海」は中型水槽が並んでいるが、新展示開発による魅力的な魚を収容できるように大型化を計画している。黒潮の展示は、琉球弧の島々を巡る旅のテーマを含め、源流域の熱帯アジアに至る海洋文化展示や海域の生物展示に発展させる。社会教育施設として、学校や他の文化施設等との連携を図る。

・教育プログラムの柱を「持続可能性」「命の教育」とし、子どもたちが「自然への扉」を開く体験学習の場としての機能を強化する。
 「アクアマリンえっぐ」子ども体験館、及び「うおのぞき子ども漁業博物館」の新たな施設が加わり、アクアマリンふくしまには一層の発展力が付加された。
 えっぐの館内では、「いろいろ水族館」、「海と遊ぶ」のほか、「釣り場」や戸外の「えっぐの森」などを活用し、ボランテイア活動の支援も受け、「命の教育」を推進していく。
 「うおのぞき子ども漁業博物館」は、漁業体験プログラムによって漁業の持続可能性を考える場である。また、いわき市の水産振興事業、小名浜まちづくり市民会議等、地域のNPO等とも協働し、この施設が地域交流の核となるべく事業を展開していく。

・天然記念物に指定されている沼の内弁財天賢沼のオオウナギをシンボルとした「弁財天うなぎプロジェクト」により、阿武隈域内保全活動を推進する。

・海外域内保全活動としてのシーラカンスの学術研究については、インドネシアをはじめ世界各地の研究機関等と連携を図りつつ、生態基礎調査を実施する。

・レストラン、ミュージアムショップ等、付帯事業についても、10年の節目に相応しい大幅な見直しを行う。直営化を含む事業の転換を図るとともに、それを一層のサービス向上に結びつける。特にレストランは「海をたべる」命の教育プログラムと連動して、水族館のレストランならではの展開を目指していく。なお、閉館後の館内利用についても、公共の施設の矜持を保ちつつサービス向上の一環として取り組んでいきたい。

アクアマリンふくしま シンボルマーク アクアマリンふくしま シンボルマーク

アクアマリンふくしま 館長 安部義孝