館長からのメッセージ

よみがえれ、五石の鎮魂碑完成

私達は、より快適な生活を求めて、突っ走ってきた。その結果、失ったものが多い。自然も文化も。それを恢復することが地域の水族館の目標の一つである。それは、希少動物の保全にもつながる。アクアマリンふくしまは、「よみがえれ生きた化石」、「よみがえれ鯨文化」、「よみがえれ川ガキ」、「よみがえれ日本漁業」、「よみがえれカエルの歌」、「よみがえれ伝馬船」、そして「弁財天うなぎプロジェクト」など、「よみがえれ」シリーズを、企画展示や教育普及活動、研究活動のテーマとして、失われつつある伝統文化の発掘や自然環境の恢復を目指している。

「よみがえれ」シリーズ(左から鯨文化、日本漁業、川ガキ) 「よみがえれ」シリーズ(左から鯨文化、日本漁業、川ガキ)

昨年、福島県浜通りの、かつて伝馬船の漕ぎ手だった海の男達が地元の大國魂神社に参集し、伝馬船を復活させるプロジェクト「伝」を立ち上げた。伝馬船の船大工は80歳を超えるご高齢で、伝馬船づくりは30年来のことだというが腕は確かだった。このほど、第一号の伝馬船、海友丸が完成した。漕法の伝習には地元小名浜水産高校改め、いわき海星高校のカッター部員が参加した。海友丸はアクアマリンふくしまの蛇の目ビーチの浜に係留されている。大タッチプールが海に漕ぎ出す前の漕法の伝習の場となる。

「よみがえれ」シリーズ(左から生きた化石、伝馬船、カエル) 「よみがえれ」シリーズ(左から生きた化石、伝馬船、カエル)

事業の継続のために阿武隈山中から樹齢50年の杉の大木を3本伐採した。海の男達が阿武隈山地に入り、山の男達が協力した。今年も、第二海友丸の造船にとりかかる。同高校出身の当館職員が船大工に弟子入りすることになっている。
 地元大國魂神社の宮司による節目々々の神事が高齢の人々を動かし、よみがえらせた。アクアマリンふくしまは、「よみがえれ」シリーズの実践によって地域の交流拠点となる。

鮫川石による鎮魂碑 鮫川石による鎮魂碑

このたび、小名浜港を臨むアクアマリンふくしまの入り口の芝山に、あぶくまの山並みをぬって流れる鮫川の名石を配した五石の石組みを配した。これは、「よみがえれ」の記念碑でもあり鎮魂碑でもある。石組みは、いわき市川部町在住の蛭田一雄氏の手になるものである。巨石の一つは田中英雄氏に寄贈していただいた。「よみがえれ」の揮毫は大國魂神社山名隆弘宮司によるものだ。
この厳かな石庭をつくるにあたってご協力をいただいた皆様に感謝したい。

鮫川石について
福島県いわき市の遠野町から植田町を横切り、太平洋へと流れ出す鮫川は、近在の好間川石と並び名石を生み出す河川である。鮫川石は深い青色を呈し、石の形状は変化にとみ、滝石、島形、平磯、段石、蛇クレ等、様々な形が楽しめる。この石組みに使われた鮫川石は、40年前に本流から採取されたもので、石の丸みは鮫川の奔流が長い年月をかけて削りだしたものである。

アクアマリンふくしま 館長 安部義孝