館長からのメッセージ

長期企画展示の意義

企画展『Alii!パラオ 黒潮源流の海』( 会期:2004/7/15~2005/5/23 ) 企画展『Alii!パラオ 黒潮源流の海』( 会期:2004/7/15~2005/5/23 )

敗戦から60年、日米激戦の島パラオは、いまやダイバーのメッカだが、草むらや海底には日本軍の遺物がころがっている。
島々は何事もなかったように原生林が復活し、サンゴ礁の海底に横たわる零戦の残骸はサンゴの「花束」がおおっていた。

小笠原の東京都水産試験場をリタイアした海洋生物学者、倉田洋二さんとパラオで20年ぶりに邂逅した。彼は、パラオ諸島の玉砕の島、ペリリュウ、アンガウル島の生き残りだ。今はパラオの首都コロールの椰子の木陰の庵に住み、墓参団のお世話などをしている。
椰子の葉擦れを聞きながら深夜まで酌み交わした。
戦争はなにも解決しない。

この記憶を風化させないために、醜い戦争と対比して、あまりに美しいパラオの海をこの展示場に再現した。

この企画に当たっては、パラオ共和国、パラオサンゴ礁センター、国際協力事業団の皆様のご支援を受けました。厚く御礼申し上げます。

なお、この展示のデザイン、制作は伊藤隆治さんによるものである。生物展示、映像撮影はアクアマリンふくしまのプロジェクトメンバーによるものである。彼らの努力にも合わせて敬意を表したい。