館長からのメッセージ

大漁旗による持続可能な漁業キャンペーン

アクアマリンふくしまが、地域との協働によって取り組んできたイベントに、秋の環境芸術祭がある。大漁旗デザインコンペは、2006年から毎年秋に開催している「国際環境芸術祭」の主要イベントの一つで、持続可能な漁業のキャンペーンでもある。
大漁旗デザインコンペは小名浜港にふさわしい乾坤一擲のブランド企画であると思った。
アクアマリンふくしまのデザインアドバイザー、伊藤隆治氏のネットワークで若手の異ジャンルアーテイストに制作を依頼した。旗の中に漢字の「大漁」と「小名浜国際環境芸術祭」を入れるという条件で、作者の自由な発想を重視した。デザインはCDで受け取り、伝統大漁旗と同じサイズの布にプリントした。

アクアマリンにたなびく大漁旗の数々 アクアマリンにたなびく大漁旗の数々

昨年は、世界の水族館のネットワークを通じて海外へも応募をよびかけた。地元の民間企業の協賛もいただき事業規模を拡大した。協賛をいただいた企業には、お好みのデザインの大漁旗に企業名と環境メッセージを染め込んで、アクアマリンふくしまの周辺にはためかせた。官公庁からも協賛をいただいた。
かつては水産立国の日本だったが、今日、水産物さえ自給率40%に下落した。沿岸域でいかにして持続的な漁業を維持するかが大きな課題になっている。大漁旗は「大漁を願い、安全を祈る」意味を持つ。大漁旗は漁師が新造船を進水させるときに航海の安全と大漁を願って寄贈される。沖に出る者、陸で待つ者の、双方の『守り神』の意味を持つ。また、大漁の知らせを、港で待つ人々にいち早く知らせる。
大漁旗の絵柄は、船主が漁師に褒賞として贈った萬祝着(まいわいぎ)に描かれている絵が原型であろう。大漁旗の絵柄は、遠くからも目立つ様に華やかで鮮やかな色彩をしている。
そして、一枚一枚が特徴をもった絵柄となっている。大漁旗を持続可能な漁業のシンボルとして、小名浜港からのメッセージとして全国に、世界に発信することがもくろみだ。
大漁旗のデザインは、現在活躍している現役のアーティスト、デザイナーから、一般、小学生までを対象に全国に公募した。地元の漁協や船主の方々にも審査員を依頼した。
そして、厳正な審査をへて、選出した入選作品を展示した。入選、入賞した作品群は、小名浜港の第1号埠頭、第2号埠頭の間にある倉庫の前の広場やアクアマリンふくしまの周りで、小名浜の風になびかせた。

モントレーでの展示パネル モントレーでの展示パネル

今後、小名浜国際環境芸術祭・大漁旗デザインコンペは、恒例のイベントとして根付かせたい。昨年は「持続可能な大漁旗デザイン公募2008」に寄せられた470もの大漁旗のデザインから約50作品が、9月27日から11月9日まで、小名浜港第二ふ頭に位置するアクアマリンふくしまの周りにはためいた。色彩豊かな重厚な布に刺繍された伝統的な大漁旗も倉庫で展示した。アクアマリンふくしまと友好関係をもつカリフォルニア州、モントレー湾水族館からも応募があり、特別展示された。入賞作品の一部は、モントレー湾水族館で同期間に展示していただいた。

水族館会議での展示パネル 水族館会議での展示パネル

また、中国の上海海洋館が10月19日から24日の間に主催した第7回世界水族館会議中に、同館の玄関ホールでアクアマリンとモントレーの大漁旗を企画展示として飾っていただいた。大漁旗は今や、世界に持続可能な漁業のシンボルとして進出しその美しい姿を海外に現した。

このすばらしいイベントの実現には多くの皆様のご協力を得ました。
ここに皆さまのご協力を厚く感謝いたします。

アクアマリンふくしま 館長 安部義孝