館長からのメッセージ

アクアマリン河童連盟樹立

河童は川で遊ぶ子どもたち、「川ガキ」の代名詞です。日本列島には北から南まで河童伝説があります。伝説の主、ニホンカワウソ(ユーラシアカワウソの亜種)は1979年以来目撃情報が無いことから、環境省が2012年8月28日に絶滅宣言をしました。
 昨今、川で遊ぶ子ども達、「川ガキ」も、その姿が見られなくなりましたから寂しいかぎりです。河童は、アクアマリンふくしまの10周年記念の新施設、子ども体験館「アクアマリンえっぐ」のシンボルにしたいと思いました。

そこで、ベルリン動物園水族館の元園長のユルゲン・ランゲさんに相談しました。ランゲさんの紹介をいただいて2009年10月にオーストリアのインスブルック、アルペンズーにマイケル・マーテス園長を訪ねました。

インスブルックは「イン川の橋」という名前の由来のとおり、町中をイン川が流れアルプスのふところにいだかれるチロル地方の美しい町でした。イン川は流れ下って大河ドナウに合流します。アルペンズーは、アルプスの動物だけを展示する実に美しい動物園でした。アルペンズーのマイケル・マーテス園長から、ちょうど繁殖に成功した生後3ヶ月のメスのチロルをいただくことになりました。チロルは2010年3月20日のアクアマリンえっぐの開館に間に合わせてやってきました。

アルペンズーからやってきたばかりのチロル アルペンズーからやってきたばかりのチロル

その後、パートナーのオスの個体を求めてドナウ川沿いにあるドイツのミュンヘン動物園を訪ねました。飼育員が洞のある倒木をデッキブラシでたたくと、2才の若いオスがきょとんとして顔をだしました。ドナウと名付けました。

ミュンヘン動物園からやってきたばかりのドナウ ミュンヘン動物園からやってきたばかりのドナウ

ユーラシアカワウソ、チロルとドナウは、2011年3月の被災後、一緒に上野動物園の動物病院に避難しました。彼らは4ヶ月間の避難生活の後、2011年7月15日に再開したアクアマリンふくしまに里帰りしてきました。何事もなかったように昼寝をして仲良く暮らしていましたが、年が変わって3月末に交尾行動が観察され、5月には妊娠が確認されました。6月3日に3頭のカッパの子どもが無事誕生しました。現在すくすくと育ち、3頭ともメスと判明しました。ブラボー!

ドナウとチロルの仔たち ドナウとチロルの仔たち

私たちは、ユーラシアカワウソの繁殖を契機に、稀少動物の保全に関する様々な分野で世界の動物園、水族館と交流を密にする保全プログラム、「河童連盟」を樹立することを宣言します。河童連盟は、ヨーロッパの動物園、水族館との友好の掛け橋となり、EEP*のユーラシアカワウソ繁殖計画に貢献します。

最後に、ユーラシアカワウソ導入に労をとっていだだいたユルゲン・ランゲさんはじめ、アルペン動物園のマイケル・マーテス園長とディレク・ウルリッヒさん、ミュンヘン動物園のアンドレアス・クニーリエム園長とゼヒラー・カールテンさんなど、カワウソの輸送手続き等にご協力をいただいた多くの方々に感謝致します。また、上野動物園前園長小宮輝之さんと動物病院の皆様に感謝いたします。

*ヨーロッパ絶滅危惧種プログラム;ヨーロッパ動物園水族館の繁殖プログラム

2012年11月

 

アクアマリンふくしま 館長 安部義孝