館長からのメッセージ

海を通して人と地球の未来を考える

私は、どこの国へ行っても早朝の魚市場を見ることにしています。魚市場では、その国の食文化、つまり海の利用の密度を知ることができます。市場での見聞は、その国の文化の相違から受けるカルチャーギャップを埋めてくれます。

水族館では、人々に、漁業の話題や、生きた生物の展示を通して、海の資源の持続可能な利用のあり方を伝えることが可能です。

アクアマリンふくしまの黒潮水槽では、ときにカツオやマグロがイワシ群を襲う様子が観察できます。動物園でライオンにシマウマを食べさせるわけにはいきませんが、水族館では海洋の食物連鎖の真の姿を見せることが可能です。

リオデジャネイロで開催された国連会議以来、「持続可能な開発」がキーワードになりました。三つの相反する課題、トリレンマ、すなわち60億人の人口を養う経済成長、有限なエネルギー、そして環境保全、これにどのような最適解を見いだすかが、人類の課題です。

人と自然の関係を考えるユニークな社会資本として、水族館は、トリレンマの解決をテーマにした教育活動を展開する格好の施設です。むしろ水族館からの情報発信に説得力があると思っています。

「海を通して人と地球の未来を考える」は、アクアマリンふくしまの哲学です。真に迫った自然をたのしみながら、自然の持続可能な利用のあり方を考える場です。ここでの体験がトリレンマの解決の糸口になると確信します。

アクアマリンふくしま 館長 安部義孝