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大陸棚に生息する希少ベラ「アカボウ」アクアマリンふくしまで初展示

「ふくしまの海~大陸棚への道~」コーナーにおいて、アカボウの展示を始めました。
水深100m以深に生息する珍しいベラです。海中での映像とともに生体を展示します。

アカボウ ROVで撮影した生態写真 ※頭を下にして泳ぐ本種(水深170m)

アカボウ採集後 アカボウ採集後

  • 分類 スズキ目ベラ科タキベラ属
  • 学名 Bodianus cylindriatus
  • 英名 Slender Pigfish
  • 採集 2022年10月19日 静岡県西伊豆町沖合でROVを使用して採集 水深170m
    ※ROV:遠隔操作型水中小型カメラ ※採集協力:塩徳丸

日本では、長崎県野母崎南西沖、神奈川県城ヶ島西方沖、和歌山県周参見沖、土佐湾の水深100m以深に
生息が確認されています。体色は、上半部は強い赤身のオレンジ色、下半部はうすいピンク色です。目を通る黄色のラインと、尾びれの基底中央に赤色の斑点があるのが特徴です。展示個体は体長11cmですが、本種は成長すると体長20cmになります。

展示の経緯

今回のROVを使用した採集調査中に水深170mで本種を発見し、マニュピレーターの先に取り付けたカゴで採集することができました。採集直後はお腹を上にして浮かんでしまい、減圧症と思われる状態が確認されたため、圧力をかけて治療を行いました。その後、バックヤードで状態が回復したため展示にいたりました。
本種は生息水深が深いことから、生息地の情報が局所的であり、生態に関する知見はほとんどありません。しかし、同じような水温帯には生息が確認されており、福島県沖の大陸棚にも生息の可能性があります。今回の調査によって、駿河湾での正式な分布記録が初めて明らかとなりました。またベラ科魚類は、雌から雄へ性転換する事が知られており、雌雄で体色も異なります。展示個体の性別は不明ですが、飼育を通して性転換に伴う体色変化などを明らかにできればと期待しています。また、過去のROV調査では複数の個体が同じ場所に集まっているところが撮影され、今後も生息地の調査継続と飼育によって本種の生態について解明していければと考えています。