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日本動物園水族館協会より初繁殖認定を受けました

卵から育てる水族館アクアマリンふくしま
同時6種認定は今年度国内最多!

アクアマリンふくしまは開館以来、生物の種の保存活動にも力を入れており、展示生物を自然界からの採集だけに頼らず、施設内での繁殖・育成に積極的に取り組んでいます。このたび全国の動物園・水族館が加盟する(公社)日本動物園水族館協会(以下、日動水)より、当館で繁殖した生物が初繁殖として認定されましたのでお知らせします。

この認定は、日動水が、飼育下での繁殖技術の向上とその蓄積が生物学的記録の一つとして学術的に寄与することを目的に行っているもので、加盟園館からの申請を受け、基準を満たしたものだけが初繁殖として認定されます。今年度は全国の園館から34種の生物が認定されましたが、当館は最も多い6種が認められました。当館はこれまでに日動水から旧繁殖賞を含め、31種が初繁殖として認定されています。

初繁殖認定された生物

コトクラゲ

コトクラゲ

分類:有櫛動物門有触手綱クシヒラムシ目コトクラゲ科
学名:Lyrocteis imperatoris
英名:Harp Comb Jelly
初繁殖認定個体孵化日:2014年12月15~16日

1941年に昭和天皇が相模湾沖で発見され、京都大学の駒井卓博士が形態が琴のような形からコトクラゲと名付けられました。水深80m以深に生息し、潮の流れの速い場所で櫛の歯状の2本の触手を長く伸ばし、触手に粘着性物質を分泌することによって海中の動物プランクトンを捕獲します。体は非常に軟らかく、体色は橙、黄色、白、白地に赤色の水玉模様など多様なバリエーションがあります。

マーブルマウスフロッグフィッシュ

マーブルマウスフロッグフィッシュ

分類:アンコウ目カエルアンコウ科
学名:Lophiocharon lithinostomus 
英名:Marble-Mouthed Frogfish
初繁殖認定個体孵化日:2016年11月4日

フィリピン、インドネシアの浅い海に生息。泳ぎが得意ではなく、海底を胸鰭で這う様に移動したり、鰓孔から水を噴き出したりして移動します。また、頭に釣り竿の様な鰭を持ち、この鰭を小さな生物の様に動かすことで、餌と間違えて寄ってきた魚を大きな口で丸のみにする、釣りをする魚としても有名です。

アオビクニン

アオビクニン

分類:カサゴ目クサウオ科コンニャクウオ属
学名:Careproctus pellucidus
英名:Pellucid Snailfish
展示場所:ふくしまの海~大陸棚への道~
(2020年の冬に繁殖した育成個体を展示)
初繁殖認定孵個体化日:2017年12月23日

北海道から茨城県の太平洋側、水深143~300mの深海に生息するクサウオ科魚類の仲間です。全長は最大20㎝にまで成長し、体はゼラチン質で体色はピンク色です。主に海底の甲殻類を捕食して食べています。当館での飼育研究により、深海魚である本種の繁殖行動の解明に成功しました。

ヒガシナメクジウオ

ヒガシナメクジウオ

分類:脊索動物門頭索動物亜門ナメクジウオ鋼ナメクジウオ目ナメクジウオ科
学名:Branchiostoma japonicum
展示場所:海・生命の進化コーナー(繁殖した個体の展示は行っていません)
孵化日:2019年5月12日

房総半島から九州までの太平洋岸(瀬戸内海を含む)と丹後半島以南の日本海側に生息しています。全長は約5cm、体全体は扁平で細長く、表皮が透明なため、内臓が透けて見えます。海底の粗い砂中に生息しており、呼吸と共に海中の有機物をこしとって食べます。背骨がありませんが脊索を持つため、脊椎動物への進化の過程を知るうえで重要な動物とされています。

ヤエヤマノコギリハゼ

ヤエヤマノコギリハゼ幼魚

分類:スズキ目ハゼ亜目ノコギリハゼ科ノコギリハゼ属
学名:Butisam boinensis
英名:Olive flathead-gudgeon
展示場所:熱帯アジアの水辺(繁殖個体展示中)
初繁殖認定個体孵化日:2020年7月13日

日本では主に琉球列島の河川汽水域に3種のノコギリハゼ科魚類が生息していますが、いずれも環境省レッドリストの絶滅危惧種とされており、本種はその中でも最も危機的な1Aに記載されています。保全のために生活史に関する知見が求められていますが、今回当館が繁殖に成功したことにより、これまで不明だった産卵行動、卵、孵化仔魚の形態などの生態が明らかとなりました。

 

サルシアクラゲ

サルシアクラゲ

分類:刺胞動物門ヒドロ虫綱花クラゲ目タマウミヒドラ科サルシアウミヒドラ属
学名:Sarsia tubulosa
英名:Clapper Hydroid

初繁殖認定個体孵化日10㎜ほどのヒドロ虫の仲間で、冬の終わりから春にかけて見られるクラゲです。かつては北海道沿岸部から東北にかけての分布とされていましたが、近年では西日本や九州でも確認されています。小名浜周辺でも3月から5月頃に岸壁でよく確認されます。口柄(こうへい)と呼ばれる口にあたる部分が、傘よりも長く伸びるのが特徴で、4本の長い触手を使って小さな動物プランクトンを捕まえ、口柄に運び捕食します。

*コトクラゲ、マーブルマウスフロッグフィッシュ、サルシアクラゲは2022年3月9日現在展示してません。