新種「モユククサウオ」公表のお知らせ
アクアマリンふくしまで採集した深海魚が「モユククサウオ」として、公表されました。(生存個体はなく、展示は行っていません。)
モユククサウオの「モユク」はアイヌ語で「タヌキ」を表す言葉です。また種小名の「ニクテレウテスnyctereutes」は、ラテン語で「夜の放浪者」の意味があると同時に、「タヌキ属」を表します。タヌキは、夜間エサを探しながらフラフラと足跡を残しますが、このモユククサウオも、クサウオ科の大きな特徴の吸盤が痕跡しかなく、岩にくっつかずに暗い深海でユラユラと遊泳しながら生活していると考えられるため、 「モユククサウオ」と命名されました。
- モユククサウオ
- クサウオ科フウライクサウオ属
- Elassodiscus nyctereutes
- Raccoon snailfish
公表日 | 2020年7月16日(日本魚類学会英文誌オンライン版に公表) |
---|---|
共同研究 | 京都大学 准教授 甲斐嘉晃博士、NOAA(米国海洋大気局) |
採集場所 | 北海道知床羅臼沖800-1200m |
採集方法 | 刺し網漁 |
頭部から腹部にかけて赤色.尾部は暗色.水槽内をユラユラと遊泳します。
430種以上いるクサウオ科の最大の特徴は腹吸盤があることですが、モユククサウオの属するフウライクサウオ属は、吸盤が痕跡しかないのが特徴です。
今回、京都大学の准教授甲斐嘉晃博士、アクアマリンふくしま、NOAA(米国海洋大気局)の共同研究によって、これまで知られていた3種のフウライクサウオ属とモユククサウオは別種であること(脊椎骨数の相違やDNA配列の相違)が判明し、日本魚類学会の英文誌に新種として公表されました。
2020年5月22日~6月10日まで約1ヶ月間、モユククサウオを予備水槽で飼育していました。現在は生存個体はいませんが、「親潮アイスボックス」コーナーでアルコール標本を展示しています。また今後、生体展示に向けて調査研究を続けていきます。
【日本魚類学会英文誌オンライン版】
https://doi.org/10.1007/s10228-020-00764-4
モユククサウオ動画
YouTubeでモユククサウオ動画を公開しています。