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タマコンニャクウオ 日本初繁殖認定

北海道羅臼町で発見された深海魚「タマコンニャクウオ」が(公社)日本動物園水族館協会より、2020年度初繁殖に認定されました。

タマコンニャクウオ

初繁殖認定証とは

(公社)日本動物園協会が飼育下での繁殖技術の向上とその蓄積が生物学的記録の一つとして学術的に寄与することを図るため、認定証を授与しています。この認定は国内で初めて繁殖後6ヶ月以上生存した繁殖動物を対象としています。今回は、2018年10月に繁殖した事例が2020年12月1日に初繁殖として認定されました。当館で初繁殖(旧繫殖賞)に認定されたのは31例目です。

意義

タマコンニャクウオを含むクサウオ科の魚は、世界で430種以上確認されていますが、多くが深海に生息しているため、その生態はほとんど分かっていません。当館では、2004年から北海道羅臼沖で採集される深海魚の飼育研究を始め、今回、人工授精により、本種の受精卵、およびふ化稚魚を約1年にわたって育成し、その成長を記録しました。
その学術的価値が日本動物園水族館協会から認められ、初繁殖認定されました。これは日本初繁殖ということですが、世界初ということにもなります。
今後も、羅臼漁協のご協力を得ながら、羅臼沖で採集される貴重な深海生物の生態研究に取り組んでいきたいと考えています。

 

タマコンニャクウオ

  • タマコンニャクウオ
  • クサウオ科コンニャクウオ属
  • 学名Careproctus rausuensis(カレプロクタス ラウスエンシス)

羅臼沖356mで発見された魚で、2012年に新種として発表されました。世界中で分布が分かっているのは羅臼沖のみで、学名に「羅臼」が入っています。

体長約15cm。体が丸く「玉のよう」で、コンニャクのようなゼラチン質で覆われているため、タマコンニャクウオという標準和名が付いています。 羅臼漁協が取水している深層水のストレーナーに入っていたり、カゴ漁で混獲たりします。お腹に吸盤を持つことが特徴で、通常は岩や壁にくっ付いて、海流に流されないようにしながら生活しています。