ヤエギスとコクチヤエギスの飼育研究について
ヤエギスCaristius macropusとコクチヤエギスParacaristius nudarcusは、全長30cmほどに成長し、水深200mから1000mに生息しています。捕獲されることは稀で、その生態は謎だらけの深海魚です。「アクアマリンふくしま」では水面付近で採集した正体不明の直径1.7mmほどの卵を育成することに成功し、それがヤエギスの卵であったことを突き止めました。そして短い期間でしたが、幼魚を世界初展示することができました。これまで計5回卵から育てたヤエギスを展示しましたが、その中にコクチヤエギスという別種も含まれていた事がわかりました。
これら2種の卵や孵化した仔稚魚の記録は少なく、鱗や鰭に損傷がない綺麗な標本はほとんどありません。
今回、2011年から当館が実施している卵・仔稚魚の採集調査で採集されたヤエギスとコクチヤエギス2種の飼育研究について日本魚類学雑誌に掲載されました。今後も、謎の多い深海魚の生態解明に向けて調査研究を継続し、展示につなげたいと思います。
共同研究者:水産研究・教育機構開発調査センター 岡本 誠 博士
公表日:2020 年5 月29 日(魚類学雑誌 DOI: 10.11369/jji.20–003)