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北海道羅臼沖から日本初の巨大ヒトデ発見!

2022年北海道羅臼沖から発見されたヒトデが日本初記録であることが明らかになり、論文として公表されましたのでお知らせします。

掲載論文

Journal of Natural History
2024年8月2日公表
Pseudarchasteridae (Asteroidea: Paxillosida) in Japanese waters, with description
of a new species and range extension of three species

日本近海から発見されたモミジヒトデ科の新種および3種の新産地記録

東京大学大学院理学系研究科公式サイト

著者

小林格*1、園山貴之*2、日比野麻衣*3、河野光久*4、幸塚久典*1

1 東京大学大学院理学系研究科附属臨海実験所
2 新江ノ島水族館
3 ふくしま海洋科学館
4 山口県水産研究センター

概要

東京大学大学院理学系研究科附属臨海実験所、新江ノ島水族館、ふくしま海洋科学館、山口県水産研究センターのメンバーからなる共同研究グループは、北海道、静岡県の漁業者および山口県漁業調査船かいせいによる調査で混獲されたヒトデ類の形態学的な研究を行いました。その結果、4種のモミジヒトデ科が認められ、新種のParagonaster 属(新称:ミヤビモミジヒトデ属)や、国内初となるGephyreaster属(新称:ダイオウモミジヒトデ属)などを報告しました。
北海道羅臼沖水深570-750mのエビ籠漁で発見されたダイオウモミジヒトデ(新称)Gephyreaster swiftiは、モミジヒトデ科ダイオウモミジヒトデ属に属する唯一の種です。これまでモミジヒトデ科は、国内で2属4種知られていましたが、本報告により3属6種となりました。
本種はアメリカ西海岸~ベーリング海での報告例しかないため、今回は日本初記録となります。本種は直径30cmをこえる大型のヒトデで、体を縁取るブロック状の骨の間隔が広いことが特徴です。
このような大型種がこれまで日本で見過ごされてきた事実は、海洋生物の多様性理解がいかに未熟であるかを示す好例といえます。
ヒトデは日本に約250種が生息しますが、現在でも新種や日本初記録種が続々と発見されています。本研究により、日本産のモミジヒトデ科は6種に更新されましたが、今後も更なる種の発見が期待されます。