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国内初!「ヤワラゲンゲ」展示開始 (※11/21展示終了)

「親潮アイスボックス」コーナーで、国内初の「ヤワラゲンゲ」を展示開始しましたのでお知らせいたします。

※展示は終了いたしました。(2022年11月21日)

  • ヤワラゲンゲ
  • ゲンゲ科ヤワラゲンゲ属
  • 学名Lycodapus microchir
  • 英名Small soft eelpout

主にオホーツク海(稀にベーリング海西部)に分布し、国内では北海道オホーツク海水深1,000m以深に生息します。深海に生息するゲンゲの仲間の中でも特に小型で成長しても全長10cm程度です。また、背鰭に棘がなく、鰓孔(えらあな)は大きく、体に側線がないのが特徴です。

今回の展示個体は、2022年5-7月に北海道羅臼沖500-1,200mの深海エビ籠漁、刺網漁において混獲され漁業者によって採集されました。当館へ輸送後、バックヤードの水槽で個体の行動観察を行ってきましたが、今回、京都大学甲斐博士に同定をしていただき、種が確定しました。

ゲンゲの仲間はゼラチン質の体で体表が弱く、生きて採集されることは稀です。さらに、本種は深海(1,000m以深)に生息し、小型種であることから、漁業の網にかかり生きてあがること自体が奇跡的です。

本種の生態に関する知見は大変少ないことから、今後は展示を通じて深海の多様性を再現すると共に、小さなゲンゲたちが、深海という特殊な環境でどのように暮らしているか観察を続け、生態解明に寄与できればと考えています。