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深海エイの赤ちゃん誕生!ザラカスベの赤ちゃんと卵を展示

「ふくしまの海~大陸棚への道~」コーナーにおいて、深海エイ「ザラカスベの赤ちゃん」の展示を始めました。

産まれたザラカスベ(左)と卵(右)

産まれた直後から全身はトゲに覆われザラザラしている

  • ザラカスベ
  • ガンギエイ目 ヒトツセビレカスベ科 ソコガンギエイ属
  • 学名Bathyraja trachouros
  • 英名Eremo skate

当館の職員が漁業調査船「若鷹丸」に乗船し、資源調査の際に混獲された生物を提供していただきました。
*若鷹丸の資源調査は「令和3年度水産資源調査・評価推進委託事業(水産庁)」により実施
採集協力 国立研究開発法人水産研究・教育機構 水産資源研究所 水産資源研究センター

生物情報

北海道室蘭から福島県の太平洋側、水深100~800mの砂泥底に生息しています。背面は小さな棘に覆われてザラザラしており、腹面に棘はなく滑らかです。ザラカスベは最大で全長約1mに成長します。展示する個体は2022年9月8日に産まれた全長約15㎝の1個体と、孵化した卵も合わせて展示します。なお、別の個体ではありますが、2022年9月2日からザラカスベの日本初となる展示をしています。(別展示水槽)

展示の経緯

ザラカスベの仲間は長さ約15㎝の通称“人魚の財布”と呼ばれる卵を一度に2つ産みますが、繁殖に関する情報はほとんどありません。ザラカスベの仲間は孵化までに3年半以上かかると推察され、卵生魚類の中では最長の期間だと考えられています。今回、昨年の6月に採集した卵を当館に持ち帰り、今年の9月8日に孵化を確認しました。持ち帰った時には、すでに卵の中でエイの形まで成長していましたが、それでも孵化までに1年3ヶ月かかりました。孵化した個体は、ザラカスベである事がわかり、初めてザラカスベの卵や孵化直後の形態が明らかとなりました。今後は成長を記録し、深海に生息する本種の生態解明に迫ります。