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ヤエヤマノコギリハゼの繁殖に成功しました

アクアマリンふくしまで絶滅危惧種ヤエヤマノコギリハゼの繁殖に成功しました。

ヤエヤマノコギリハゼ親魚

ヤエヤマノコギリハゼ(左:オス、右:メス)

日本では主に沖縄県八重山地方に生息する環境省レッドリスト選定されており、飼育下での繁殖成功は日本初記録です。

ヤエヤマノコギリハゼ幼魚 ヤエヤマノコギリハゼ幼魚

ヤエヤマノコギリハゼは、環境省絶滅危惧種ⅠAに分類されています(環境省版レッドデータブック,2014)。水中で腹を上にしたり、逆立ちで浮くなど、多彩でユニークな姿勢をとることで知られ、このような行動をする魚は、日本の淡水および汽水魚のなかではこの種だけとされています。

当館では5年にわたり本種の繁殖に挑戦し、今年の夏に繁殖に成功しました。日本では初めて人工の環境での繁殖に成功となり、2020年度日本魚類学会(2020年10月31日~11月1日開催)で発表しました。

 

参考:絶滅危惧種ⅠA類とは

環境省が作成している絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト「レッドリスト」の中で、ごく近い将来絶滅の危険性が極めて高いものと判定されたもので、現在、自然界に生息しているものの中では、最もランクの高いカテゴリーとなります。同ランクのものには、イリオモテヤマネコ、ラッコ、ジュゴン、コウノトリ、カンムリワシなどが含まれます。

ヤエヤマノコギリハゼ幼魚

  • ヤエヤマノコギリハゼ
  • スズキ目ハゼ亜目ノコギリハゼ科
  • 学名Butis amboinensis

日本が分布の北限で、石垣島、西表島に恒常的に分布するが、沖縄島以北での記録は稀。国外ではインド、太平洋の島々など。全長は約10cm。河川汽水域で、水没した植物などに身を寄せて生活する。そのため本種の生息には植物が生い茂る水辺という限定的な環境が必要と考えられ、河川改修や道路建設などでその場所が失われた際にその影響を受けやすい。