クラカケアザラシの標本を展示
2階「飼育員の研究レポート」コーナーに、当館で飼育していたクラカケアザラシのはく製を展示しました。
死亡症例に認められた病理組織学的所見 についてもあわせて展示しています。
くらまるについて
2015年6月に北海道道東部にて保護されたオスの個体です。当時は特徴的な体の模様もなく、体の大きさから1~2歳と推定されました。状況などから放流できないと判断され、アクアマリンふくしまで研究をしながら飼育をすることになりました。保護後しばらくはバックヤードで飼育していましたが、2015年12月より展示を開始し、公募により「くらまる」の愛称をつけていただきました。
クラカケアザラシの飼育最長記録は7年ほどで、飼育がとても難しい種なのですが、アクアマリンふくしまでは2023年7月までの8年間飼育することができました。
残念ながら心不全でその生涯を閉じることになりましたが、その間に今まで分かっていなかった生態や、たくさんの情報を得ることができました。
- クラカケアザラシ
- Histriophoca fasciata
- Ribbon seal
黒褐色の体にリボンを巻いたような特徴的な模様をしていることから、英語ではRibbon sealの名がついている。
和名のクラカケは、背中の模様が馬の背に載せる鞍の形に似ていることが由来。繁殖期以外は単独で外洋で生活をするため、未だ生態不明な点が多い。
オホーツク海、ベーリング海、チュコート海に分布する。
日本では繁殖期の4月頃に流氷に乗っている姿を目撃されることが多い。成体の最大体長は1.8m、体重90-148kg。産まれたばかりの子は純白の毛に覆われているが、生後5週間ほどですべて抜け落ちてしまう。しかし、特徴的なリボン模様はこの時点では現れず、性成熟を迎える4歳前後に出現する。この模様はオスには現れるが、メスははっきりしない。