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新種のクサウオ「ヒシコンニャクウオ」公表のお知らせ

アクアマリンふくしまで採集した深海魚が「ヒシコンニャクウオ」として公表されましたのでお知らせします。(展示は標本のみ行います。)

ヒシコンニャクウオ
写真提供:北海道大学総合博物館・田城文人


<掲載論文>
2024年2月26日(月)
Ichthyological research 日本魚類学会国際学術誌
Careproctus rhomboides, a new snailfish (Cottoidei: Liparidae) from the western North Pacific (和訳:北太平洋西部から見つかったクサウオ科コンニャクウオ属の新種)

<名前>
標準和名:ヒシコンニャクウオ
学名:Careproctus rhombodies
※学名、和名ともに菱形をした外見の特徴に由来する

<特徴>
現在、北海道知床半島の水深570-825mでしか見つかっておらず、生きた姿は確認されていません。体は全体的に赤みがかり、腹側に吸盤を持っています。

<詳細>

北海道知床半島の水深570-825mで採集されたクサウオ科コンニャクウオ属4個体の標本を調べた結果、これまで知られている種類と脊椎骨の数や鰭(胸鰭・背鰭・臀鰭)の数に違いが見つかりました。また遺伝子を調べた結果からも他種と差があり、京都大学および北海道大学との共同研究により,日本魚類学会国際学術誌「Ichthyological Research」で新種として発表されました。種名は、菱形をした外見の特徴からヒシコンニャクウオと名付けました。

クサウオ科魚類は世界に430種以上が知られ、そのほとんどが深海(200m以深)に生息し、最大8000mを超える水深でも見つかっています。寒天質の柔らかい肉質をしているため、漁網などで体が傷つきやすく、水族館での展示例もわずかです。これまでも当館が関わった調査で、北海道知床半島からクサウオ科魚類3種類(ユウレイコンニャクウオ・オトヒメコンニャクウオ・モユククサウオ)が新種として発見されています。

本館2階「飼育員の研究レポート」で標本展示と情報掲載予定です。