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北海道羅臼沖から新種のヒトデ発見!

北海道羅臼沖で当館職員が採集した深海のヒトデが新種「ホウユウシアワセモミジガイ」として公表されたのでお知らせいたします。情報と標本(1個体)を本館2階「飼育員の研究レポート」に展示します。※標本展示は4/6頃までの展示、情報は5月末までの展示を予定しています。

  • ホウユウシアワセモミジガイ 
  • 学名Mimastrella komkom

特徴と名前の由来

腕は5本。本種は背中の骨がクローバー状、腕の側部にあるブロック状の骨が細く目立ない、管足に吸盤状の構造がある

などの特徴があります。また繊細な棘や骨格が体表をビロード状に覆うことから、アイヌ語で小鳥の羽毛を意味するkomkomと種小名に命名しました。和名は、背中の骨が4葉に広がった基部と長い柄をもち「四つ葉のクローバー」に似ていることから、「シアワセモミジガイ」と提唱しました。また「ホウユウ」は、これまで北海道羅臼沖での複数の新種発見にくわえ、本個体採集時にお世話になった漁船「豊佑丸(ほうゆうまる)」へ献名です。

詳細

2023年5-7月に北海道羅臼沖のヒトデ相調査において当館職員が採集しました。その後、神戸大学の小林格博士を筆頭として、アクアマリンふくしま、東京大学大学院理学系研究科附属臨海実験所の脇田大輝博士、幸塚久典氏らとの共同研究によって新種として公表されました。(本調査は小林博士と当館職員で取得した2023年度無脊椎動物研究所の助成によって実施。)これまでシアワセモミジガイ属は南極周辺でのみ知られていましたが、今回の発見によって北半球にも生息し、より広域に生息する可能性が示唆されました。今後も調査が進み、本属の生態や正確な分布域が明らかになることが期待されます。

  • ホウユウシアワセモミジガイ(生体)
  • 「四つ葉のクローバー」にみえる背中の骨
    (写真提供:神戸大学 小林格)