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絶海の孤岩「孀婦岩」に生息する深所性魚類2種の水中撮影記録を論文発表しました。

2022年12月20日刊行された日本生物地理学会会報第77巻にて「孀婦岩周辺海域で確認された深所性チョウチョウウオ科ウラシマチョウチョウウオ属とキンチャクダイ科アブラヤッコ属の水中撮影記録」について論文発表しましたのでお知らせします。

 

  • ROVで撮影されたユミヅキヤッコ
  • ROVで撮影されたウラシマチョウチョウウオ属の一種

 

■論文発表日:2022年12月20日

■論文掲載先:日本生物地理学会会報 第77巻

■論文展示場所:アクアマリンふくしま本館2階 飼育員研究レポートコーナー

■経緯

 2018年にNHKエンタープライズと共同で、東京から南方に約660kmの場所にある孀婦岩周辺海域の調査を実施しました。当館は遠隔操作型無人探査機(ROV)を用いて水深100m以深の海底生物調査を担当しました。調査では多くの深所性魚類が確認され、映像から種の同定作業をおこなってきました。その中でも特に珍しい2種は学術的価値が高いと考えられました。そこで詳細な形態観察と出現データを整理し今回論文発表するに至りました。

■論文概要

 調査には広和株式会社製の遠隔操作型無人探査機(ROV)を使用しました。孀婦岩周辺の水深131-181mの海底を調査した結果、国内未確認のチョウチョウウオ科ウラシマチョウチョウウオ属の一種と国内で発見例の極めて少ないキンチャクダイ科アブラヤッコ属の一種が確認されました。更に精査した結果、ウラシマチョウチョウウオ属の一種は未記載種の可能性があることがわかりました。またアブラヤッコ属の一種は2022年に和名が提唱されたばかりのユミヅキヤッコであると同定されました。ユミヅキヤッコは2005年に当館のインドネシアシーラカンス調査で発見され、翌年に新種として発表されました。その際に学名にCentropyge abei(アベイ)と安部 義孝 名誉館長の名前が付いた、アクアマリンふくしまに縁の深い魚類です。