ユーラシアカワウソ・ドナウの経過について

6月15日にSNSにアップした「ドナウの治療について(ご報告)」に対し、皆さんからたくさんの励ましのお言葉を頂きました。中には水族館まで直接お手紙を届けてくれた方もいらっしゃいました。本当にありがとうございます。さて今日は、最近のドナウの様子をお伝えしたいと思います。

前回お知らせしたように、ドナウは治療のためバックヤードで生活しています。植物や土、大きな水場がある展示場と比較するとバックヤードは人工的で狭く、何より家族と一緒に暮らせない環境です。注射や投薬といった治療を安全に確実に行うためには隔離はやむをえないことなのですが、治療が長引くにつれ筋力の低下もみられるようになりました。 そこで展示場の一部を仕切り、ドナウが外に出て運動ができる環境をつくることにしました。展示場とバックヤードを分ける扉の前のエリアの土をならして固め、柵を取り付け、ドナウ専用の運動場を完成させました。(写真①~③)

 

ユーラシアカワウソ・ドナウの経過について写真1

写真①

ユーラシアカワウソ・ドナウの経過について写真①

写真②

ユーラシアカワウソ・ドナウの経過について3

写真③

さっそくバックヤードの扉を開放すると、ドナウがすぐに出てきました。仕切りの中を駆け回るドナウ。顔をあげて風や緑の匂いを感じている様子でした。あいにくの曇天でしたが、途中で日が差し太陽に照らされているドナウの表情は、ここ最近で一番生き生きしているようにみえました。

動物を飼育する上で、その個体のクオリティ・オブ・ライフ(QOL:生活の質)はとても重要です。病気の動物に対しては治療だけでなく、暮らしの中に楽しみや安らぎをもてているか、痛みに苦しんでいないかということにも気を配る必要があります。言葉で話してはくれないドナウの状態を飼育係ができる限り察知して、少しでもドナウの毎日が豊かなものであるように、取り組んでいきたいと思います。(※外に出たドナウの姿は観覧面からもご覧いただけますが、体調や作業の都合により毎日出られるかは分かりません。)

2021年7月10日

 

扉を開けるとすぐに駆け出したドナウ。

扉を開けるとすぐに駆け出したドナウ

ドナウの経過報告6

土の感触、久しぶり。

 

個体情報

個 体 名

ドナウ 

性別

オス

生年月日

2008年6月6日(ドイツ・ミュンヘン動物園)

来 館 日

2010年10月6日

ドナウについて

アクアマリンふくしまで最も長く暮らすカワウソです。 今までに国内最多の合計9回の繁殖に成功しており、メスのまろんとその 子どもたちに囲まれて暮らしていました。