深海エビの親子同時展示はじめました
「親潮アイスボックス」コーナーにて、2019年に新種記載された3種の親子展示を開始しました。生きた姿を見られるのはアクアマリンふくしまだけです。
展示場所 | 2階 親潮アイスボックス |
---|
シラユキモロトゲエビ
分類
タラバエビ科タラバエビ属
学名
Pandalus princeps
特徴・展示について
深海のエビでは珍しく透きとおるような白色の体色が特徴です。和名・学名は、北海道羅臼町の子どもたちが考えた「白雪姫」に由来。稚エビは、水族館にて親エビよりふ化。(約1才)
シレトコモロトゲエビ
分類
タラバエビ科タラバエビ属
学名
Pandalus houyuu
特徴・展示について
体全体が赤色で3種のなかで最も大型。和名は産地の「知床」を、学名のhouyuuは、今回の3種を発見した船「豊佑丸(ほうゆうまる)」への献名です。稚エビは、水族館にて親エビよりふ化。(約2才)
クレナイモロトゲエビ
シレトコモロトゲエビ稚エビ
分類
タラバエビ科タラバエビ属
学名
Pandalus capillus
特徴・展示について
頭全体に細毛が生えているのが特徴で、学名のcapillusはこの特徴に、和名は体色の「紅」に由来。1年で数匹しか混獲されず、現在までに北海道羅臼沖で見つかった新種中、最も稀少。稚エビは、羅臼漁協の深層水施設にて親エビよりふ化。(約1才)
解説
これらの3種は、千葉県立中央博物館の駒井智幸博士との共同研究によって、2019年1月に新種として公表されました(Komai&Hibino et al. 2019: Zootaxa)。いずれも、水深500~800mから採集されるため生存率が低く、生きて展示まですることが大変難しい種類です。これらについて、6年前から、採卵や稚エビの育成に取り組んできており、2019年にシラユキモロトゲエビ、シレトコモロトゲエビの幼体展示に成功しました。しかし、クレナイモロトゲエビについては年に数回程度と採集されることが特に少なく、これまで稚エビの育成までたどりつくことができませんでした。
今回地元漁業者の全面協力により、北海道羅臼漁協の深層水施設内にて蓄養中の成体からふ化したクレナイモロトゲエビ幼体を入手でき、1年間の稚エビ育成に成功したことから、3種同時の成体と稚エビの展示が実現しました。
これら3種の成体展示自体が貴重ですが、稚エビの展示もあわせた『新種3種の親子展示』は今回が初めてです。
採集、飼育が非常に難しく世界でも展示例はありません。ぜひお早目にご覧ください。