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80年ぶりに発見! ツメナガイバラモエビ世界初展示

アクアマリンふくしま2階「親潮アイスボックス」コーナーに、80年ぶりに発見された「ツメナガイバラモエビ」を展示しました。

ツメナガイバラモエビ ツメナガイバラモエビ(新称)

ツメナガイバラモエビ

  • ツメナガイバラモエビ
  • ヒメサンゴモエビ科イバラモエビ属
  • 学名Lebbeus longidactylus(Kobjakova, 1936)
公表日 2016年10月17日(『Komai, Matsuzaki & Hibino 2016: Zootaxa 4175:390-400』) 共同研究 千葉県立中央博物館の駒井智幸博士

千葉県立中央博物館の駒井智幸博士とアクアマリンふくしまの共同研究による論文が2016年10月17日に公表され、80年ぶりに本種は再発見されました(Komai, Matsuzaki & Hibino 2016: Zootaxa 4175:390-400)。

本種は、1936年にロシア人研究者によって新種記載されましたが、その後一度も採集記録がない上、従来の記載も不十分なもので、その存在は長い間謎のままとされていました。アクアマリンふくしまによる2014年、2015年に行った深海生物調査で採集された標本を駒井氏に同定依頼したところ、本種に該当することが判明し、研究を進め今回の公表に至りました。

本種の一番の特徴は、現在約65種が認識されているイバラモエビ属の中でも、特に第3~第5胸脚の指節(爪状の部分)が細長く、棘の発達が悪いことです。学名の由来はその顕著な爪の長さによるもので、(longidactylus、ラテン語のlongus=長い+ dactylus=爪)と命名されていましたが、標準和名はそれにちなんでツメナガイバラモエビ(新称)と命名されました。80年を経て、その存在が明らかになったことは、当館によるオホーツク海の生物相調査とその採集資料の研究による重要な成果の一つとなります。

深海生物で、極めて珍しい種ですが、今回は標本だけでなく生存個体も採集に成功しています。展示の個体は体長約10cmの1個体と飼育研究でふ化に成功した稚エビ2個体です。世界初展示となるので飼育例がなく、飼育による生存期間は未知です。

*飼育水温1~3℃が適温で、採集が難しく世界でも展示例はありません。お早目にご覧ください。