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カニから産まれる…アイビクニン!日本初確認!

2017年10月7、8日に行われた日本甲殻類学会において、カニの甲羅内に卵を産みつける魚の正体について発表いたしました。

カニの甲羅内に産み付けられた卵

北海道羅臼町沖水深600-750mで漁獲されたイバラガニモドキ128匹(地方名いばらがに)の甲羅内から出現した卵(19卵塊)がコンニャクウオ属のアイビクニンとオグロコンニャクウオであることが明らかになりました。日本国内で種が判明したのは初めてのことです。この研究は、国立研究開発法人 水産研究・教育機構(水産機構)中央水産研究所の柳本卓博士とアクアマリンふくしまの共同研究として実施しました。

イバラガニモドキは、タラバガニ科に属し、北海道知床羅臼町沖では、水深500m以深の海域に生息しています。本種は、底刺し網やカゴ網漁で主に漁獲され、大型でおいしいカニであるため、近年、ロシアからのタラバガニの輸入減少に伴い、日本産の水産重要種として商品価値が上がっています。

タラバガニ科の甲羅の中にクサウオ科が卵を産み付けることは1915年から知られていましたが、どの種が産み付けるかは謎のままでした。同一海域におけるカニの甲羅の中からの卵の出現率が、14.8%と1割以上のカニに卵が産み付けられていることが判明したことは世界で初めてのことです。

これから年末年始にかけてカニを食べる機会が増えるかもしれませんが、甲羅の中に卵塊があっても魚卵なので大丈夫!これらの種は、食用ではありませんが、毒を持っていません。

当館では、水産重要種の生態を徐々に明らかにし、食の安全・安心につながる研究も行っています。カニの卵塊から孵化したオグロコンニャクウオは、アクアマリンふくしまで展示中です。

展示中のオグロコンニャクウオ(体長:約7㎝)