お知らせ

新種の水生昆虫を発見しました(バンダイホソガムシ)

アクアマリンいなわしろカワセミ水族館の平澤桂チームリーダー、愛媛大学の吉富博之准教授の研究チームが新種の水生昆虫を発見し、その研究成果が、日本甲虫学会が発行する学術誌「Elytra New Series」に掲載されました。

日本には、これまで4種のホソガムシの仲間(ヤマトホソガムシ、ホソガムシ、チュウブホソガムシ、キタホソガムシ)が知られていました。今回2018年に猪苗代湖で採集していた標本個体及び現地調査により、新種のHydrochus mitamurai, Hirasawa & Yoshitomi, 2021 を発見し、バンダイホソガムシと命名しました。和名の「バンダイ」は磐梯山を望むエリアから見つかったこと、学名の「mitamurai」は第1著者の平澤チームリーダーの恩人でもある、福島県農業総合センター浜地域研究所の三田村敏正氏に献名しました。世界には約300種が知られており、日本に分布するホソガムシの仲間は今回の発見により5種になりました。併せてホソガムシ科5種を同定するための検索表を作成しました。

バンダイホソガムシはコウチュウ目ホソガムシ科ホソガムシ属に属する水生昆虫の一種で、止水性で水中の落ち葉や枝などの基質上で生活をします。遊泳は巧みではありません。基質から離れると水面に浮き、腹面を上にしたりしながら、基質につかまると潜っていきます。成虫、幼虫ともに知見が少なく、食性も不明。今後生活史の解明が急務となります。

                       

写真:落ち葉の上を歩くバンダイホソガムシ

 

今回の研究により、国内では59年ぶりとなるホソガムシ科の新種記載となり、国内固有としては、ホソガムシ以来137年ぶりの発見となります。世界には約300種が知られており、国内では5種目となり、この仲間の福島県からの発見は初めてのことになります。

本種はチュウブホソガムシと混生し、大きさもさほど変わらないため、混同されてきた可能性があります。今回の発見と新たに作成した検索表に基づいた調査が行われることにより、福島県以外からも本種が見つかる可能性が期待されます。

論文情報

論文タイトル:A New Species of the Genus Hydrochus (Coleoptera, Hydrochidae) from Fukushima, Northeastern Japan

掲載紙:Elytra New Series,11(2):301-305

著者:Kei Hirasawa(平澤桂)・Hiroyuki Yoshitomi(吉富博之)

シェアする