お知らせ

国内初となるオウサマゲンゴロウモドキ生体の展示開始

アクアマリンいなわしろカワセミ水族館では、国内初展示となる「オウサマゲンゴロウモドキ」の生態展示を行います。

展示開始日:2019年11月16日(土)~

展示場所:2号館 おもしろ箱水族館生物多様性の世界

 

オウサマゲンゴロウモドキDytiscus latissimusは、ヨーロッパ北部に分布している現存するゲンゴロウの中で世界最大の種です。希少な種でIUCN(国際自然保護連合)のレッドリストではVulnerable=危急種(日本のレッドリスト基準では絶滅危惧Ⅱ類に相当)に位置づけられ、ワシントン条約のリスト入りはしていないものの、ベルン条約(欧州の野生生物と自然の生息地・生息地の保全に関する条約)の保護動物リストに選定されているほか、生息する国では採集禁止などの保全対象種となっています。

 

               オウサマゲンゴロウモドキ(左:オス、右:メス)

展示の経緯

本種の幼虫は餌としてトビケラの仲間を好むという特異な食性を持つことが知られており、大量のトビケラを現地で集めることは非常に困難です。もし日本で代用食を開発することができれば、本種の域外保全に大きく貢献できるほか、生態解明に関する基礎研究を行う機会の増加や、ヨーロッパ各国において飼育繁殖のハードルを下げられることなどが期待されます。

このような背景の中で、本種が現存するラトビアと日本のゲンゴロウ研究者達が協力した結果、ゲンゴロウ類の優れた飼育繁殖技術を持つ石川県ふれあい昆虫館、北杜市オオムラサキセンターおよび当館の3館で域外保全を開始することになりました。日本の各館がもつ独自の技術を応用することで、希少種オウサマゲンゴロウモドキの安定した飼育繁殖を目指します。

国際的な保護種ですので、ラトビア政府の許可を得た上で生体を捕獲・輸入したものであり、生体が国内に輸入されるのは今回が初めてのことになります。現存種の中で世界最大のゲンゴロウの迫力や美しさをご覧いただくとともに、本種を保全する意義や、取り組みについてもご紹介いたします。

今回日本への輸入にあたり、ラトガレ動物園(Latgale Zoo)勤務のDr.biol.Valerijs Vahrusevs (ヴァレリー博士)と国内でマルコガタノゲンゴロウの研究者でもある小野田晃治氏にご尽力いただきました。

学名のlatissimusは、「横幅が広い」という意味を持ち、正面から見ると幅広いことがわかります。

左:ゲンゴロウ、右:オオサマゲンゴロウモドキ(メス)

シェアする