お知らせ

福島県におけるニセコウベツブゲンゴロウおよびヒラサワツブゲンゴロウの分布状況について明らかにしました。

カワセミ水族館の平澤桂チームリーダー、福島虫の会の三田村敏正氏、吉井重幸氏、石川県ふれあい昆虫館の渡部学芸員の研究チームが、福島県におけるニセコウベツブゲンゴロウおよびヒラサワツブゲンゴロウの分布状況について明らかにし、その研究成果が日本甲虫学会の発行する「さやばねニューシリーズ」に掲載されました。
ヒラサワツブゲンゴロウ
ニセコウベツブゲンゴロウ
研究成果
 福島県はコウベツブゲンゴロウ(以下コウベツブ)とヒラサワツブゲンゴロウ(以下ヒラサワツブ)の記録がありましたが、今回過去33年分の記録がある全ての標本調査を行い、未公表の記録についても合わせて記録しました。
 その中で、コウベツブは福島県内で生息していなかったため、県内の記録から抹消し、2018年に新種記載されたニセコウベツブの県内からの初記録及びヒラサワツブの追加記録を掲載しました。両種の生息状況について、標高分布及び生息種についてもあわせて調査しました。また、今回の調査ではニセコウベとヒラサワツブの生息地がわずか300mしか離れてないところに分布している地点も発見しました。
県内の分布状況調査では標高分布では差は見いだすことができませんでした。今後は、県内の未調査地においてしっかりとした調査を行い、両種の県内の正確な分布調査解明が期待されます。
福島県のゲンゴロウ類の状況
今回のさやばねニューシリーズでは平澤チームリーダーと福島虫の会の吉井重幸氏により福島県初のキボシケシゲンゴロウを記録もしています。これにより、福島県に生息するコツブゲンゴロウ科、ゲンゴロウ科合わせて52種類のゲンゴロウの仲間が生息していることが分かりました。
九州以北で見ると、福島県は北海道60種、静岡県54種に次ぐ3番目(註:離島を除く)に多い記録の県で、多様な自然環境があることが分かります。
しかし、高齢化に伴い、不耕起となった水田での植生遷移による陸地化や、原発事故による立ち入り制限などで植生遷移の進行、太陽光発電などのクリーンエネルギー開発による生息地消失など様々な問題も抱えています。
論文
論文タイトル:福島県におけるニセコウベツブゲンゴロウおよびヒラサワツブゲンゴロウの分布状況
掲載誌:さやばねニューシリーズ, (44): 65-70
著者:平澤桂・三田村敏正・吉井重幸・渡部晃平

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